注文請書の印紙はいくら?
注文書は要らないのか、請負と売買で分かれる理由
注文請書は、請負の請書なら印紙が要ります。注文書は、原則として要りません。
工事・加工・修理など仕事の完成を約束する「請負」の注文請書は、印紙税の第2号文書です。印紙は記載された契約金額で決まり、1万円以上100万円以下なら200円です。注文書は申込みの文書なので、通常は課税されません。
ただし、物の売買の注文請書は原則として印紙が要りません。逆に注文書でも、「見積書に基づく」と書いてあると契約書として扱われ、印紙が要ることがあります。電子で送れば、どちらも印紙はかかりません。
30秒でわかる、この記事の要点
目次
1注文請書の印紙はいくらか
要点請負の注文請書は第2号文書。記載された契約金額で、200円から段階的に決まります。
国税庁のタックスアンサー(No.7102)は、請負に関する契約書(第2号文書)の例として、次のものを挙げています。
工事請負契約書、工事注文請書、物品加工注文請書、広告契約書、会計監査契約書、プロ野球選手や映画俳優などの専属契約書
「請書」は、注文を受けた側が「お引き受けします」と相手に渡す文書です。署名するのが片方だけでも、契約の成立を証明する文書なので、印紙税法では契約書に当たります。請負は、建設工事のような形のあるものだけでなく、警備や清掃のような役務の提供も含みます。
第2号文書の税額(本則)は次のとおりです。
| 記載された契約金額 | 印紙税額 |
|---|---|
| 1万円未満 | 非課税 |
| 1万円以上 100万円以下 | 200円 |
| 100万円超 200万円以下 | 400円 |
| 200万円超 300万円以下 | 1,000円 |
| 300万円超 500万円以下 | 2,000円 |
| 500万円超 1,000万円以下 | 1万円 |
| 1,000万円超 5,000万円以下 | 2万円 |
| 5,000万円超 1億円以下 | 6万円 |
| 契約金額の記載がないもの | 200円 |
1億円を超える区分もあります(No.7102)。
建設工事の注文請書は、税額が軽くなります。 建設業法に定める建設工事の請負で、契約金額が100万円を超え、令和9年(2027年)3月31日までに作るものは軽減税率の対象です。金額別の早見表は工事請負契約書の印紙はいくら?にまとめました。
2注文書に印紙が要らない理由と、要る3つの場合
要点注文書は申込みの文書なので、通常は課税されません。ただし、書き方しだいで契約書になります。
契約は、申込みと承諾で成り立ちます。注文書は申込みの側の文書なので、申込みの事実だけを書いた注文書は、通常は課税の対象になりません(国税庁 質疑応答事例「申込書、注文書、依頼書等と表示された文書の取扱い」)。
ところが国税庁は、注文書・申込書・依頼書という名前でも、次の3つは一般に契約書として扱うとしています(タックスアンサー No.7118、印紙税法基本通達第21条)。
- 見積書などに基づく申込みだと書いてある「御見積書No.○○のとおり注文します」のように、相手が作った見積書などに基づく申込みであることが書かれている注文書
- 基本契約や約款に基づき、申込みだけで契約が成立する基本契約書・約款に基づく申込みであることが書かれ、一方の申込みで自動的に契約が成立することになっている注文書
- 契約当事者双方の署名または押印がある注文した側と受けた側の両方が署名・押印した注文書(単なる受付印は除かれます)
上の1つ目と2つ目には例外があります。相手方が別に請書を作って渡すことが、注文書に書いてある場合は、注文書は契約書に当たりません。その場合に課税されるのは、受けた側が作る請書のほうです。
つまり、「見積書のとおり注文します」と書いた注文書を請負の発注に使っていて、請書を別に出す運用でもなければ、その注文書が第2号文書として課税されることがあります。注文書のひな形を作るときは、この書き方を確かめておくと安心です。
3物の売買の注文請書は、原則として要らない
要点物の売買の契約書は、課税される文書の一覧(課税物件表)に載っていません。
注文請書でも、物の売買(商品を売る・買う)のものは、請負ではありません。物の売買に関する契約書は、不動産などを除いて課税物件表に載っていないため、原則として印紙は要りません(国税庁「印紙税額一覧表」)。
ただし、次の場合は別です。
- 継続して取引するための基本契約に当たる場合(「今後の取引はこの条件で」と定めるものなど)は、第7号文書(継続的取引の基本となる契約書)として一律4,000円です。契約期間が3か月以内で、更新の定めがないものは除かれます
- 名前が「注文請書」でも、中身が加工や製作の請負(注文に応じて作る、手を加えて納める)なら、第2号文書です。国税庁の例にも「物品加工注文請書」が入っています
売買か請負かで迷うときは、仕事の完成を約束しているかで見ます。判断がつかない場合は、所轄の税務署に確かめてください。
4誰が印紙を貼るのか
要点印紙税を納めるのは、文書を作った人です。注文請書なら、注文を受けた側です。
印紙税法第3条は、課税文書の作成者が印紙税を納める義務を負うと定めています。注文請書は、注文を受けた側(請負人)が作って注文者に渡すので、印紙を貼るのは注文を受けた側です。
注文書が上の3つの場合に当たって契約書として扱われるときは、注文書を作った側が納めることになります。
5金額の書き方で変わること
要点消費税額を分けて書けば、税抜の金額で判定されます。金額を書かないと200円です。
- 消費税額を区分して書いた場合、消費税の課税事業者なら、その消費税額は記載金額に含めません(タックスアンサー No.7124。第2号文書も対象)。税込と税抜の両方が書いてあり、消費税額が計算で分かる場合も同じです
- 契約金額の記載がない注文請書は、200円です
たとえば税込110万円の請負で、税抜100万円・消費税10万円と分けて書けば、記載金額は100万円となり200円です。分けずに「110万円」とだけ書くと、100万円超200万円以下の区分(本則400円)になります。
6電子で送れば、印紙はかからない
要点国税庁は、注文請書を電子メールで送ったケースで、印紙税はかからないと答えています。
印紙税は「文書」にかかる税で、電子データ(電磁的記録)は文書に含まれません。国税庁の質疑応答事例は、建設工事の注文請書を電子メールで送ったケースについて、電磁的記録は文書に含まれないため印紙税は課税されないと答えています。福岡国税局の文書回答(2008年10月24日)も、注文請書をPDFにしてメールで送った場合について同じ結論です。
メールで送ったあとに、紙の注文請書も渡すと、その紙には印紙税がかかります(同じ文書回答)。電子で交わすと決めたら、最後まで電子で通してください。くわしくは電子契約に印紙が要らない理由に書きました。
まとめ
- 請負の注文請書は第2号文書。 記載された契約金額で、200円から段階的に決まります。1万円未満は非課税、金額の記載がなければ200円
- 建設工事の注文請書は、令和9年3月31日まで軽減税率があります
- 注文書は原則として不要。 ただし「見積書に基づく」「基本契約・約款で自動成立」「双方の署名・押印」のどれかに当たると、契約書として扱われます。相手が別に請書を出すと書いてあれば除かれます
- 物の売買の注文請書は原則として不要。 継続取引の基本契約なら第7号文書で4,000円、中身が加工・製作の請負なら第2号文書
- 印紙を貼るのは文書を作った人。注文請書なら注文を受けた側
- 電子で送れば印紙はかかりません。 紙も渡せば、その紙は課税されます
注文書と請書だけで工事を受けている場合、建設業法の面で気をつけることは注文書と請書だけで済ませていませんかにまとめています。
この記事は、注文書・注文請書と印紙税の関係を、国税庁の資料をもとに整理したものです。一般的な情報提供であり、個別の案件についての税務上の助言ではありません。実際の判断は税理士や所轄の税務署にご確認ください。