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建設業 × 印紙税

工事請負契約書の印紙はいくら?

金額別の早見表と、電子契約なら不要になる理由

執筆 五十嵐 天導(みちびきworks 代表) 公開 2026年8月15日 / 更新 2026年10月27日 要点だけなら30秒

まず、答え

契約金額で決まります。リフォームの価格帯なら200〜1,000円です。

工事請負契約書は印紙税の第2号文書で、建設工事は令和9年3月31日まで軽減税率があります(下の早見表)。電子契約で結べば、電子データは紙の「文書」ではないので印紙はかかりません。国税庁も、建設工事の注文請書を例に同じ答えを出しています。

ただし、電子で結んでも紙が1枚でも混ざると、その紙には印紙が必要です。追加工事の変更契約を紙で作ると、記載金額が当初の金額との合計として扱われることがあります。

30秒でわかる、この記事の要点

目次
  1. まず、答え
  2. 1. 工事請負契約書の印紙はいくらか(金額別の早見表)
  3. 2. なぜ電子だと印紙がいらないのか
  4. 3. 年間でいくら減るのか
  5. 4. 印紙代を導入理由にすると、期待を外します
  6. 5. どこで間違えると、電子にしたつもりで課税されるのか
  7. 6. 実装してみて分かったこと
  8. まとめ

1工事請負契約書の印紙はいくらか(金額別の早見表)

要点リフォームの価格帯(100万円超500万円以下)なら、1件200〜1,000円です。

建設工事の請負契約書(令和9年3月31日までに作るもの)の税額です。太字が軽減後の金額です。

契約金額本則軽減後
1万円未満非課税非課税
1万円以上 100万円以下200円200円
100万円超 200万円以下400円200円
200万円超 300万円以下1,000円500円
300万円超 500万円以下2,000円1,000円
500万円超 1,000万円以下1万円5,000円
1,000万円超 5,000万円以下2万円1万円
契約金額の記載がないもの200円200円

工事請負契約書は、印紙税法別表第一の第2号文書(請負に関する契約書)に当たります。

注意

「工事注文請書」も第2号文書です。 国税庁のタックスアンサーは、第2号文書の具体例としてこう挙げています。

工事請負契約書、工事注文請書、物品加工注文請書、広告契約書、会計監査契約書、プロ野球選手や映画俳優などの専属契約書

「契約書という名前ではないから印紙は要らない」という理解は誤りです。注文書・請書方式で運用している場合の話は注文書と請書だけで済ませていませんかに書きました。

建設工事には軽減措置があります

租税特別措置法第91条により、次の条件を満たす契約書は、上の表の「軽減後」の税額になります。

  • 対象:建設業法第2条第1項に規定する建設工事の請負に係る契約に基づき作成されるもの
  • 契約金額が100万円を超えるもの
  • 期間:平成26年4月1日から令和9年(2027年)3月31日までに作成されるもの

100万円以下は軽減の対象外です。もっとも本則が200円なので、金額としては変わりません。

2なぜ電子だと印紙がいらないのか

要点「電子契約は非課税」という条文があるのではなく、そもそも課税の対象になっていません。

印紙税法第2条は、こうなっています。

別表第一の課税物件の欄に掲げる文書には、この法律により、印紙税を課する。

課税されるのは「文書」です。 電子データ(法律の言葉では電磁的記録)は、この文書に含まれません。

国税庁の質疑応答事例が、まさに建設工事の注文請書を例にして答えています。建設業がそのまま照会の題材なので、解釈を当てはめる必要がありません。

根拠
【照会要旨】 当社は建設工事を請け負っていますが、取引先から受注するに当たり、請負契約の成立を証するものとして書面で注文請書を作成することに代えて、受注する旨や請負内容等の取引情報を記録した電磁的記録に当社の電子署名を付したものを取引先に電子メールで送信しています。この電磁的記録は、印紙税の課税対象となるのでしょうか。
【回答要旨】 印紙税の課税対象となるのは、課税物件表の物件名欄に掲げられている文書であり、電磁的記録は文書に含まれません。したがって、おたずねの電磁的記録に印紙税は課税されません。

3年間でいくら減るのか

要点年100件の事業者で、年2万〜10万円。これが、電子契約で削減できる印紙代のすべてです。

単価150万円 × 年100件(1件200円)年 20,000円
単価350万円 × 年100件(1件1,000円)年 100,000円

契約書を2部作って双方が保管する運用なら2倍になりますが、それでも桁は変わりません。電子契約サービスの利用料のほうが、たいてい上回ります。

4印紙代を導入理由にすると、期待を外します

要点印紙は200円、契約は150万円。守る仕組みに投資すべきなのは、契約のほうです。

印紙代の削減は、電子契約を入れる理由としては小さすぎます。 ここを主な理由にして稟議を通すと、導入後に「思ったほど変わらない」という評価になります。本当に効くのは、別のところです。

  • クーリング・オフの起算日を立証できる交付と到達の記録が残るので、起算日が立っていることを示せます。起算日が立っていなければ期間はいつまでも終わらず、150万円の工事が丸ごと戻ってくる話になります
  • 書面の作り直しが減る金額や日付が変わるたびに刷り直していたものが、データの修正で済みます
  • 記載事項の食い違いが起きにくくなる特商法の書面と建設業法の請負契約書を別々に手作業で作ると、金額や工期がずれます。これは実際に起きています
  • 契約書の紛失がなくなる

5どこで間違えると、電子にしたつもりで課税されるのか

要点電子でやると決めたら、変更契約まで最後まで電子で通してください。

紙が1枚でも混ざる場面

電子で契約したあとに、追加工事の変更契約を紙で作る。 これは訪販リフォームで起きます。

紙で作った変更契約書は、文書です。 電子契約と組み合わせたからといって、紙の側が非課税になるわけではありません。

2件目(記載金額)の要点は次のとおりです。電子契約で結んだ工事の請負契約について、取引先の求めで紙の変更契約書を交わし、当初の契約日と表題を引いたうえで、変更前の金額と増加金額を書いた、という照会です。

  • 増額の変更契約書は、変更前の金額を書いた「文書」が作られていることが明らかで、増加金額が書いてあれば、増加金額が記載金額になる
  • ところが電子契約(電磁的記録)は印紙税法上の文書に含まれないので、変更前の金額を書いた文書が作られていることが明らかとはいえない
  • そのため、この変更契約書の記載金額は、当初の契約金額と増加金額の合計になる

つまり、当初の契約を電子で結んだぶん、紙の変更契約書のほうの印紙が高くなることがあります。追加工事が出やすいリフォームでは、確実に関係します。1件目(引用する旨の記載がある場合)の本文は、こちらでは確認できていません。

注意

変更契約も電子で行うなら、この論点はそもそも生じません。 紙と電子を混ぜる運用にするなら、上の2件を税理士か所轄の税務署に確認してください。

「印刷して渡す」場合

電子で作成・交付したものを、後から印刷して手元に置くこと自体は、通常の運用です。

ただし、印刷したものに署名や押印をして相手方に交付するという運用にすると、話が変わります。それは紙の契約書を作成・交付したことになりうるからです。中途半端に紙を挟むと、非課税の前提が崩れます。

業務委託・売買・賃貸借など、工事以外の契約書で紙でも印紙が要るのか、ほかに紙に戻ってしまう場面はどこかは、電子契約に印紙が要らない理由にまとめました。

6実装してみて分かったこと

要点印紙の削減額は、あえて画面に出していません。

実装してみて分かったこと
  • 削減額を画面に出すのをやめた — 金額が小さく、200円と表示されたら逆効果です。しかも訪問販売では、電子を選ぶと得をするという見せ方が特定商取引法施行規則第18条第9号ニに触れます。お客様の目に触れる可能性がある画面には出せません(電子交付でやってはいけない9つのこと)
  • 変更契約を、電子のまま回せるようにした — 「変更契約だけ紙で」という運用になると、印紙の論点が復活するためです。建設業法第19条第2項の変更契約も電子の対象で、施行規則が定義する「契約事項等」に変更の内容が含まれています
  • 契約金額の記載を必須にした — 「契約金額の記載がないもの」は200円という扱いがあるので、金額を書かなければ印紙が安くなるという発想の余地を消しました。そもそも建設業法第19条第1項第2号が「請負代金の額」を必須の記載事項にしているので、書かない選択肢はありません

まとめ

  • 工事請負契約書の印紙は契約金額で決まり、リフォームの価格帯なら1件200〜1,000円(軽減後)
  • 紙の工事請負契約書は第2号文書。「工事注文請書」も対象です
  • 電子契約なら印紙はかかりません。 電磁的記録は印紙税法の「文書」に含まれません(印紙税法第2条・国税庁質疑応答事例)
  • 軽減措置は令和9年3月31日まで、契約金額100万円超が対象です
  • リフォームの価格帯で1件200〜1,000円、年100件でも2万〜10万円。導入理由にすると期待を外します
  • 紙が1枚でも混ざると、その紙は課税されます。 変更契約まで電子で通してください。紙の変更契約書は、記載金額が当初の金額との合計になることがあります

訪問販売の契約実務について、ご相談を承っています。変更契約を電子のまま回す設計、紙と電子が混ざらない運用など、実装した立場からお答えできることがあります。インシナックスの実際の画面をご覧いただくこともできます。お問い合わせ:info@inshinax.com

この記事は、訪問販売で工事をともなう契約を扱う事業者向けに、印紙税の取扱いを整理したものです。一般的な情報提供であり、個別の案件についての税務上の助言ではありません。実際の判断は税理士や所轄の税務署にご確認ください。

五十嵐 天導(いがらし たかみち)

みちびきworks 代表。太陽光発電と蓄電池の営業を13年、そのうち8年は副社長として経営にたずさわる。 特定商取引法の要件を満たせる電子契約が見当たらなかったことから、電子契約システム「インシナックス」を自分で作った。

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