建設業法の見積期間は何日?
予定価格別の日数・数え方と、改正で変わった条文
見積期間は、予定価格で決まります。500万円未満は1日以上、500万円以上5,000万円未満は10日以上、5,000万円以上は15日以上です。
建設工事の注文者は、契約の前に工事の内容をできるだけ具体的に示し、そこから契約(または入札)までに、見積りに必要な一定の期間を置かなければなりません(建設業法第20条第3項・建設業法施行令第6条)。数え方は、内容を示した日の翌日からです。
ただし、やむを得ない事情があれば、10日・15日の区分は5日以内に限り短くできます。下請負人が期間の満了前に自分から見積書を出した場合は、期間を待つ必要はありません。
30秒でわかる、この記事の要点
1見積期間は何日必要か
要点工事1件の予定価格で、1日以上・10日以上・15日以上の3段階です。
建設業法第20条第3項は、建設工事の注文者に対して、契約を結ぶ前(入札なら入札の前)に工事の内容をできるだけ具体的に示し、見積りに必要な政令で定める期間を置くよう求めています。その期間を定めているのが、建設業法施行令第6条です。
| 工事1件の予定価格 | 見積期間 | やむを得ない事情があるとき |
|---|---|---|
| 500万円未満 | 1日以上 | — |
| 500万円以上 5,000万円未満 | 10日以上 | 5日以内に限り短縮できる |
| 5,000万円以上 | 15日以上 | 5日以内に限り短縮できる |
短縮できるのは、10日と15日の区分だけです。1日の区分には、短縮の定めはありません。
条文の番号が変わっています。 見積条件の提示と見積期間の定めは、以前は「建設業法第20条第4項」でした。2025年12月12日に施行された改正で第20条の構成が変わり、国土交通省の「建設業法令遵守ガイドライン」(第12版・2026年1月)では第20条第3項として説明されています。古い資料やひな形で「第4項」と書かれているものは、この改正より前のものです。
2見積期間の数え方
要点内容を示した日の翌日から数え、期間が満了した翌日以降に契約や入札ができます。
建設業法令遵守ガイドライン(第12版)は、6月1日に契約の内容を示した場合の例を挙げています。
| 区分 | 契約を結べるのは |
|---|---|
| 1日以上 | 6月3日以降 |
| 10日以上 | 6月12日以降 |
| 15日以上 | 6月17日以降 |
示した日(6月1日)は数えず、翌日の6月2日から数えます。10日の区分なら6月2日〜6月11日の10日間を置き、その翌日の6月12日から契約できる、という数え方です。
- 下請負人が先に見積書を出した場合期間の満了前に下請負人が見積書を出したときは、満了を待たずに契約できます
- 追加工事の見積り追加工事などの見積りを頼むときも、同じ期間の考え方が当てはまります
- 土日・祝日の扱いガイドラインには、土日・祝日を除くといった定めは書かれていません(確認できた範囲で)
- 公共工事入札の公告から入札までの期間が、見積期間とみなされます
3見積りの前に示すべき内容
要点工事名・場所・設計図書・責任施工範囲・工程・見積条件などを、書面かメール等で示します。
見積期間は、内容を示してから数えます。内容があいまいなままでは、期間を置いたことになりません。建設業法令遵守ガイドライン(第12版)は、元請負人が下請負人に最低限示すべき事項として、次のものを挙げています。
- 工事名称・施工場所
- 設計図書(数量等を含む)
- 下請工事の責任施工範囲どこからどこまでを任せるのか
- 下請工事の工程と、全体の工程
- 見積条件・他の工種との関係部位・特殊な部分
- 施工環境・施工上の制約
- 費用負担の区分材料費、労働災害防止対策、建設副産物の運搬・処理を、元請と下請のどちらが負担するか
確定していない事項は、確定していないことを明示します。示し方は、口頭ではなく書面またはメール等とされています。
4違反になる例、違反のおそれがある例
要点期間を決めない、短すぎる、質問に答えない。どれも第20条第3項に触れます。
建設業法令遵守ガイドライン(第12版)が挙げている例です。
- 違反:予定価格が700万円の下請契約で、見積期間を3日とした(10日以上が必要)
- 違反:地下埋設物による土壌汚染を知りながら、その情報を示さずに見積りをさせ、契約した(第20条第3項と第20条の2第1項)
- 違反のおそれ:「できるだけ早く」などあいまいな期間を示した、または期間を決めないまま見積りをさせた
- 違反のおそれ:見積条件についての下請負人の質問に答えない、あいまいに答える
発注者と元請(受注者)の間についての「発注者・受注者間における建設業法令遵守ガイドライン」(2024年12月版)も、予定価格1億円の工事で見積期間を1週間とした例を、違反として挙げています。なお、このガイドラインは、個人が自ら住む住宅などの工事を対象から外しています(一部の通知の部分を除く)。
5改正で加わった、見積書の中身の決まり
要点2025年12月の施行で、材料費・労務費などを書いた見積書の作成が努力義務になり、著しく低い見積りが禁じられました。
2025年12月12日に施行された改正で、見積りの中身についての定めが加わりました(建設業法令遵守ガイドライン 第12版)。
| 誰に | 何が決まったか | 条文 |
|---|---|---|
| 見積書を出す側(下請負人) | 材料費・労務費・法定福利費・安全衛生経費・建設業退職金共済掛金・必要な作業日数を書いた見積書を作るよう努める | 第20条第1項 |
| 見積書を出す側(下請負人) | 通常必要と認められる材料費等を著しく下回る見積りをしてはならない | 第20条第2項 |
| 見積書を受け取る側(元請負人) | 示された内容を考慮するよう努める | 第20条第4項 |
| 見積書を受け取る側(元請負人) | 材料費等が著しく低くなるような変更を求めてはならない | 第20条第6項 |
「著しく下回る」かどうかは、地域性や工事の内容などを総合的に見て個別に判断されます。ガイドラインは、労務費が最低賃金を下回る場合は著しい乖離に当たるとしています。
見積期間を置く・見積条件を示す・やりとりを残す、はどれも「記録が残っているか」の話です。ガイドラインも、追加工事の見積りについて、見積りのやりとりを記録して双方が保管することが望ましいとしています。電話と口頭で済ませていると、後で「いつ、何を示したか」を示せません。
まとめ
- 見積期間は予定価格で決まり、500万円未満は1日以上、500万円以上5,000万円未満は10日以上、5,000万円以上は15日以上(建設業法第20条第3項・施行令第6条)
- やむを得ない事情があれば、10日・15日の区分は5日以内に限り短縮できる
- 数え方は示した日の翌日から。6月1日に示したら、10日の区分は6月12日以降に契約できる
- 期間は内容を示してから数える。工事名・場所・設計図書・責任施工範囲・工程・見積条件・費用負担の区分を、書面かメール等で示す
- 期間を決めない、短すぎる、質問に答えない、は違反または違反のおそれ
- 条文番号は2025年12月の改正で第4項から第3項に。あわせて、材料費等を書いた見積書の努力義務と、著しく低い見積りの禁止が加わった
2024年12月と2025年12月の改正で変わったことの全体は建設業法の改正で何が変わった?【2026年版】に、工事の請負契約書に書くべき事項は建設業法19条の記載事項を、リフォーム契約書に落とすに、注文書と請書で受けるときの注意は注文書と請書だけで済ませていませんかにまとめています。
この記事は、建設業法の見積期間について、国土交通省のガイドラインをもとに整理したものです。一般的な情報提供であり、個別の案件についての法的な助言ではありません。実際の運用は、許可行政庁や専門家にご確認ください。